大学資金の準備法|18年積立・新NISA・学資保険の組み合わせ
2026年5月25日 ・ 教育資金

「大学進学にいくら必要か」がわかったとき、次の疑問は「どうやって準備するか」です。国立大学の学費だけで約 250万円、私立文系で約 400万円(自宅外通学の生活費を含めると倍以上)になることを踏まえると、早いうちから計画的に積み立てることが不可欠です。本記事では、児童手当の温存・新NISA・学資保険という3つの主要手段を利回り・流動性・リスクの軸で比較し、開始時期別の積立の考え方を整理します。
目標額の設定:まず「いくら準備するか」を決める
準備計画を立てる前に、目標額のざっくりとした目安を持っておきましょう。
- 国立大学(自宅通学): 学費約242万円 → 目標約 250万円
- 私立文系(自宅通学): 学費約410万円 → 目標約 400万円
- 私立文系(自宅外通学): 学費+生活費で → 目標 700〜800万円以上
- 私立理系(自宅外通学): 目標 900万円〜 も視野に
子どもが小さいうちは志望校は決まりません。まず「私立文系の自宅通学分=約400万円」を最低ラインの目標として据え、余裕があれば上積みするという考え方が実用的です。
3つの主な準備手段
1. 児童手当の温存
2024年度の制度改正により、児童手当の支給対象が高校卒業相当年齢(18歳到達後の最初の3月末)まで拡充されました。支給額は子どもの年齢・子の数・所得によって異なりますが、0歳から高校卒業まで受給分を一切使わずに貯め続けると、総額200万円規模 になるケースもあります。
ただし児童手当はあくまで「もらえるお金」であり、それだけで大学費用を賄うには不足します。「手をつけない学費専用口座に移す」という運用がシンプルで有効です。
2. 新NISA(つみたて投資枠)
2024年から始まった新NISAのつみたて投資枠は、長期・分散・積立による資産形成に適しています。
- 運用益が非課税(通常は利益に20.315%課税)
- いつでも売却・引き出し可能(流動性が高い)
- 元本保証なし(株式市場の価格変動リスクがある)
- 長期(15〜18年)で積み立てることで複利効果を活かしやすい
「年3〜5%の利回りを見込む試算もある」とされる場合がありますが、これはあくまで過去の実績に基づく参考値であり、将来の運用成果は保証されません。受験直前期に大きな相場下落が来た場合には、取り崩しタイミングを見誤るリスクがある点も覚えておく必要があります。
3. 学資保険
学資保険は計画的な積立と元本確保を重視する商品です。
- 返戻率重視(支払保険料に対して100〜105%前後の満期保険金)
- 途中解約は元本割れのリスクがある
- 利回りは低めだが、インフレには弱い
- 契約者(親)が亡くなった場合に以降の保険料が免除される保障が付くことが多い
学資保険の利回りは預金よりは有利ですが、投資信託の期待値よりは低くなります。「確実に準備したい額」を学資保険でカバーし、「成長余地を持たせたい額」を新NISAで積み立てるという組み合わせが一般的な選択です。
3手段の比較
| 手段 | 利回りの目安 | 元本確保 | 流動性 | リスク |
|---|---|---|---|---|
| 児童手当の温存 | なし(預金利率) | ◎ | ◎ | ほぼなし |
| 新NISA つみたて | 年3〜5%(保証なし) | ✗ | ◎ | 価格変動リスクあり |
| 学資保険 | 約100〜105%(15〜18年) | ◎ | ✗ 低い | 途中解約で元本割れ |
どれか1つに絞るより、3手段を組み合わせてリスクを分散させる方が現実的です。
開始時期別の積立負担の考え方
積立期間が短いほど、毎月の積立負担は大きくなります。以下は「運用益なし・単純割り算」での参考目安です(実際の運用では複利・利回りにより変わります)。
目標400万円を単純割りした場合の月額目安
| 開始時期 | 積立期間 | 月約いくら(単純割り算) |
|---|---|---|
| 0歳から | 約18年(216か月) | 月約1.9万円〜 |
| 小学校入学(6歳)から | 約12年(144か月) | 月約2.8万円〜 |
| 中学入学(12歳)から | 約6年(72か月) | 月約5.6万円〜 |
運用益が加われば必要な積立額は減りますが、運用益は不確実です。単純割りの数字を「最低ライン」として意識し、実際には児童手当の温存分や運用益を上積みとして見込む考え方が安全です。
「0歳スタート」の圧倒的なアドバンテージ
複利の効果は時間が長いほど大きくなります。0歳から積み立て始めれば、毎月の負担を抑えながら余裕を持って目標額に近づけます。「子どもが生まれたら学費用の口座を作る」という習慣が、18年後の余裕につながります。
2025年以降の公的支援も計画に織り込む
2025年度から始まった「多子世帯無償化」(扶養する子3人以上の世帯に対する授業料・入学金の無償化)は、子どもが多い家庭にとって大きな追い風です。該当する場合は、準備すべき総額を下方修正できる可能性があります(詳細は奨学金の選び方の記事を参照)。
また、高等教育の修学支援新制度による授業料減免・給付奨学金の対象になる場合も、学費の自己負担額が大幅に減ります。公的支援の最新情報を定期的に確認しながら、準備計画を見直す習慣を持ちましょう。
まとめ
- 目標額は「私立文系自宅通学で約400万円」をベースに、通学形態・志望校で上積みを検討する。
- 準備手段は「児童手当温存+学資保険(確実な土台)+新NISA(成長余地)」の組み合わせが現実的。
- 開始時期が早いほど月々の負担は小さい。0歳スタートが理想。
- 多子世帯や低所得世帯向けの公的支援も活用し、自助準備との組み合わせで考える。
- 新NISAの運用益は不確実。「単純割り算の月額を最低ライン」として認識した上で積み立てる。